フォト

編みぐるみ作品

  • 28 顔デカ ダックスフント
    手づくりの編みぐるみ作品を販売しています。 作品はオーダーメイドです。 作品参考例をご覧下さい。 ご注文、質問等はメールにて。 このブログのコメント欄にメールアドレスをご記入ください。 折り返しご連絡を差し上げます。
無料ブログはココログ

« 頑張れ、日本 | トップページ | アブラムシにより壊滅状態の庭 »

ミルクが飲めない赤ちゃん

サッカーワールドカップで盛り上がっている最中ですが、ちょっと暗い話をお届けします。
前回の記事「コジロウの病気」の続きです。一気に書くのは大変なので、日常の記事の合間に少しずつ書きためたものを掲載していきたいと思います。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



コジロウはミルクを自力で飲むことができません。オッパイからも、哺乳瓶からも。

誕生してから7週間病院で暮らし、その間ミルクを飲む訓練を続けていました。
初めは10mlだったものが30、50と量を増やし、退院時にはなんとか毎回90mlまで飲むことができるようになりました。目標は毎回110mlを日に6回。それには及びませんでしたが、飲むことが決して容易ではないコジロウにとって、90mlもとても喜ばしい結果でした。
2度だけ100ml飲んだこともあり、私たちは希望に満ちていました。これからどんどん飲めるようになり、健康な赤ちゃんに近づいていくのだ、と。


ところが生後2ヶ月半をすぎた頃からまた量が落ちていきました。

1回に50mlしか飲めなかった。30、20、今日は1日で30mlだけ・・・。
ミルクを飲むのが辛いのです。
飲みたいのに、飲めない。

苦しいよ、辛いよ。
毎回涙を流しながらギャーギャー泣いて苦しんだコジロウは、やがて飲むこと自体が嫌になり、哺乳瓶を見ただけで拒否反応をおこすようになりました。

それは花びらが散るように脆く、哀しく。
必死に守ろうとする私のこの両手から、はらはらと零れ落ちていきました。
もう無理強いすることは私にはできず、コジロウはついに1滴も飲まなくなってしまったのです。


その時の気持ちを何と表現してよいか、未だにわからない。


このあと私も夫も、ただひたすら機械的に同じ作業を繰り返していくことになりました。
それは、注射器でミルクをコジロウに与えること。

口から十分にミルクを摂取することができないコジロウは、生まれた翌日からこの方法に頼ってきました。
鼻から胃まで細いチューブを通し、ミルクを注射器で直接胃に流し込むのです。このチューブをドイツ語ではMagensonde(マーゲンゾンデ)と呼んでいます。
私は3時間~4時間おきに搾乳を繰り返し、哺乳瓶に入れて冷蔵庫に保管。最初に口から飲めていたうちは哺乳瓶から与え、1回の目標摂取量に満たない分は注射器で与えていました。

そのためMagensondeは24時間常に装着状態。顔にはいつも余計な緑色のチューブがぶら下がっている。チューブを固定するためのテープもコジロウの小さな顔を味気無さで覆う。
1週間ごとの交換時には、何枚も写真を撮ったよ。これが本当の顔だもの。

でも、これが命綱。
これがないとコジロウは生きていけない。


ミルクの時間はきっちり4時間おき。入院していた病院で決められた時間です。それが深夜だろうがコジロウが寝ていようが関係なく、時間が来ればミルクを温めて与える。
深夜に時間通りに起きる自信が無いときは目覚まし時計をかける。


哺乳瓶から飲ませないと赤ちゃんが飲むこと自体を忘れてしまうから、必ず毎回与えなさい、と、あるドクターは私に言いました。
それは正しいように思えましたが、迷いもありました。飲むという赤ちゃんに初めから備わっている本来の能力を忘れることがあるだろうか。こんなにも毎回嫌がっているのを無理に飲ませようとしたら、それこそ拒否反応が強くなってもっと飲まなくなってしまうのではないか。


そうこうしているうちに、コジロウはお腹が空いても泣かない子になってしまいました。

泣かないのです。
お腹が空いたよ、眠いよ、何か居心地が悪いよ。
たいていの赤ちゃんはこのどれかを泣いて周囲に知らせるというのに、コジロウはそのうちのひとつが欠けてしまいました。
それでも最初は約4時間おきに泣いて目覚めたりしていたのです。なのに、やがてそれもなくなり。
先生が言うには、生まれてからずーーーーっと決められた時間にミルクを与えられてきた。それも本人がお腹が空いていようがいまいが関係なく、一定量を入れられる。
もしかしたら胃は常に満腹状態なのかもしれない。仮にお腹が空いたとしても、泣かなくても時間がくれば勝手に空腹は満たされる。泣く必要がない。


そして、泣くことを、忘れた。


私たちは親でありながら、自分の子のことがわからなくなってしまいました。
今泣いているのは、なぜ?
今お腹が空いているの?
それすらも、わからず。



生後4ヶ月からは言語療法士のもとに通い、口や舌の動きを見ながらミルクを飲めるようになるようアドバイスを受けています。しかし10ヶ月の現在も、飲むことができません。厳しい現実をつきつけられています。



私は今日も、明日も、これからもずっと、注射器にミルクを入れて与える作業を繰り返す。
いつの日かコジロウが自分で飲んだり食べたりできることを願って。その日が来ることを信じて。




★応援クリックしていただけますと励みになります★
↓ ↓ ↓

にほんブログ村 海外生活ブログ ドイツ情報へ
にほんブログ村

« 頑張れ、日本 | トップページ | アブラムシにより壊滅状態の庭 »

コメント

人懐こい笑顔の裏で、大変なのは想像に難くない…
このところ、コメントはしてなかったけれど日本滞在記や欠かさず読んでいたよ。

健康でさえいてくれれば、それが親心。
焦るなと言われても、子が何を訴えて泣いているのか 泣いていない時は何を考えているのか、
言葉のキャッチボールが出来ないうちは途方に暮れることもあったよ。いや、そればかり。
今更だけど、赤ちゃんならではの喃語は思い出すと可愛かったなぁ。

それでも、生きているから嬉しい。不謹慎に聞こえたら謝るけど、出産後の当時のこと思い出して、
大変ながら家族が揃って生活出来ていて嬉しいよ。

>imaちゃん

ブログ読んでくれててありがとう。メールの返信をしようと思いつつそのままになっていたけど、私もそちらの近況を気にしていたところでした。

赤ちゃんの喃語はかわいいよね。今が盛りよ。
赤ちゃんが何を考えているのかを不思議に思ったり推測するのは、親の永遠のテーマだね。
とりあえず何かふにゃふにゃ言っているのはご機嫌な証拠。それだけでこちらの心が和むね。

うおこさんはじめまして。はじめてコメントさせていただきました。
というのも、ブログを見てあまり他人ごととは思えなくて・・・
実は3月に生まれた私の娘もある遺伝障害を持っていて、生後1週間から数週間入院していました。
またこの病気は治療薬はなく、一生涯すべてのたんぱく質を取れないという厳しい食事制限をしないといけないそうです。(肉、魚、卵、大豆製品全てで野菜や果物でさえも制限があるそうです)
たんぱく質を取り続けると脳障害を起こしてしまい、知能が発育しなくなってしまうそうです。

現在は特別なミルクを飲ませているのですが、やっぱり嫌がってほとんど飲んでくれません。
私も4時間おきに目覚ましで起きて与えているのですが、その度に10ミリや20ミリだけで、このままだと同じように胃に直接ミルクを与える方法しかなくなってしまいそうです。
(うちも全くお腹が空かないのか、起こさなければほとんど朝まで起きません)
毎日、毎日、本当につらくてミルクを与えるたびに涙が出ていますが、せっかく生まれてきた命だから、と頑張っています。
お互い母親としてつらいですが、きっといつか元気になれる日が来るはずですので頑張りましょう!!

>soleilさん

はじめまして。コメントいただきましてありがとうございました。
内容を見ておもわず溜息をついてしまいました・・・。こんなに医学が発達しているというのに治療のしようがなく、難しい問題を抱えた子のなんと多いことか。それも長きにわたって食事制限をしなければならないとは辛いですね・・・。
うちの子は結局違ったのですが、病気の原因がわからなかった当初は成長ホルモンに関係する部分に異常があると考えられており、成人するまで(身体の成長が止まるまで)手のつけようがないと言われたこともありました。

ミルクの度に辛い思いをされていること、お察しいたします。ミルクを飲まないと身体が育たないばかりか、嚥下障害を引き起こしてしまう可能性があります。これになってしまうとそれを回復するのはとても大変で膨大な時間と労力がかかることを痛感しています。
そして病気そのものよりも、それによって引き起こされるさまざまな問題の方が普段の生活で大変な場合もあります。
心配がつきないかと思いますが、お子さんが嚥下障害にならないよう、お医者様とよくお話されて頑張ってください。

3月生まれということは生後3~4ヶ月ですね。笑顔も出てきて赤ちゃんらしい愛らしさがあふれてくる頃ですね。長いようで短い赤ちゃんとの生活、お互い楽しみましょう。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 頑張れ、日本 | トップページ | アブラムシにより壊滅状態の庭 »