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うおこの入院生活記-「7週間目、そして退院」

この長きにわたる入院期間中、私は何度も空を見上げた。
流れる雲や、日を追うごとに早くなっていく日の入りの時間、木々の色、散りゆく木の葉。
コジロウの病室から見える景色に季節の移り変わりを感じながら、なるべく遠くを、上の方を眺めた。
そうすると気持ちが落ち着いたし、こぼれそうになる涙を少しでもこの目に留めておくことができた。

まるで何かの歌にあるようなベタな方法だけど、本当に下を向いたら涙が落ちてしまうから。
ドクターから辛い報告があった時、コタロウに会えなくて哀しくなった時、私は空を見上げた。
 


P1170066


家に残しているコタロウは、今日も空を見て「きれいねー」と言っているだろうか。
夕焼け空をみる度に、「ほら、コタロウ見てご覧よ、綺麗だねー」と私が空を指して言っていたから、コタロウは空のことを「キレイ」という名前だと思っているらしい。
どんよりした曇り空でも「きれいねー」ってよく私に言っていた。


もう泣くまいと心に誓うも、やはり耐えられないことが何度か起こった。
今日は秋晴れ。こんなに清々しい空なのに。一緒に散歩に出たコジロウの目も空を映して澄んでいるのに。私はまたこらえきれずに涙で目を曇らせてしまった。



そんな入院生活も終わりを迎える時が来た。
5日後の退院予定が告げられたのだ。
ミルク量はまだ不十分だが、体重はちょうどこの日に目標に達しており、病気の原因もほぼ特定できたからだ。いろいろとまだ満たない部分は自宅で時間をかけて調整していく形となった。


この週でコジロウは風邪をひいてしまい、ミルク量も体重もガクッと落ちて退院が危ぶまれたが予定通りその日を迎えることができた。


この風邪は実は私から感染したものだった。母乳を飲んでいる赤ちゃんは母乳に含まれる高い免疫力に守られて半年は病気にならないなんてよく言われるが、疲れで体力が落ちた私が風邪をひいてしまい、それがあっさりうつったと思われる。
苦しそうに咳き込むコジロウを抱えてしょんぼりしている私を看護婦さんは「そんなふうに考えてはいけない」と慰めてくれたが、それでも自分の責任なのは明らかだった。
最後の最後まで辛い思いを抱えたままの入院生活。



私を担当してくれたヘバメ(助産婦さん)に報告の電話を入れる。
彼女は出産前に何度か自宅に訪れて私の身体のケアをしてくれた。お腹にいたコジロウの心臓の音を一緒に聴き、頭や手足の位置を私に教えてくれ、コジロウの名前の由来を話し・・・なのにとても残念だ。
本来ならば産後に毎日家に来てもらい、コジロウや私のお世話をしてくれる予定だった。しかし彼女がコジロウに会ってお世話することはない。もうヘバメさんが必要な時期は過ぎてしまったのだ。私もコジロウも。
なんだか悲しい別れだ。
(一度来てもらってもよかったかもしれないが、助けが必要でないかぎり、彼女の仕事の範疇ではないような気がして・・・)


それでも、ようやく、ようやく家に行く。


前日、夫は忙しかった。
いい加減待ちくたびれたコジロウのウェルカムボードをひっぱりだしてきて、子供部屋を風船などで飾りつけ。
家の掃除。お世話になった病院スタッフへのお礼のお菓子を街に買い出しに行く。



10月1日。
ついに10月になってしまった。少し肌寒い曇り空。でも雲間からはまぶしい光とともに澄んだ青空が見える。
今日からコジロウの新しい人生がはじまる。

いつも通りオムツを替えて体温を測り、ミルクをあげて泣けば抱っこ。
自分の搾乳を終えてようやく9時すぎに遅めの朝食。

たくさんの看護婦さんがコジロウのお世話をしてくれたが(看護婦さんは日替わりで、特にこの人が担当、という人はいなかった)、私が好きな看護婦さんがちょうど出勤していたので精一杯のドイツ語でお礼を伝える。彼女は朝、病室にコジロウの顔を見にきてくれた。
お掃除のおばちゃんとも固い握手をして別れる。ほんの少しの交流でも私の心を温めてくれた人たちだ。


お昼のミルク後、コジロウはすんなりと寝てくれたので、ゆっくりとコーヒーを飲みながら夫と退院の時間を静かに待つ。


15時。
ドクターが来て少しの説明を受け、ここで初めてKinderpass(子供手帳)を受け取る。
病院から支給してもらっていた服を脱がせて、この日のために用意していた新品のベビー服に着替えさせる。ママが選んだ服よ。よかった、まだ小さくなっていない。


チャイルドシートに乗せ、ようやく笑顔で集中治療室の扉を開け、病院を去った。
もうここには来ないよ、さぁ家に行くよ、コジロウ。


これからは、家族4人一緒だよ。





おしまい。


長々と続いた入院記。ご精読ありがとうございました。



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最後にしつこいけど、まとめです。過去の記事はこちら。


・うおこの入院生活記-「転院・集中治療室へ」1
・うおこの入院生活記-「転院・集中治療室へ」2
うおこの入院生活記-「1週間目」
・うおこの入院生活記-「2週間目」
・うおこの入院生活記-「3週間目」
・うおこの入院生活記-「4週間目」
・うおこの入院生活記-「5、6週間目」
・うおこの入院生活記-「7週間目、そして退院」

【番外編】
・うおこの入院生活記-「折鶴に願いをこめて」
・うおこの入院生活記-「所変われば母乳編」
・うおこの入院生活記-「ドイツ人観察」

・うおこの入院生活記-「病院食」
・うおこの入院生活記-「夫&友人」
・うおこの入院生活記-「コタロウ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



★終わったー!自分、よく書きました。★
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コメント

こんにちは。はじめてのコメントです。
入院生活記、すごくシンパシーを感じながら読んでいました。やっとこさの7週目!

私の長男も生まれてからの7週間をドイツの病院のNICUで過ごしました。29週での早産で未熟児で生まれてきた長男も今月で1歳7か月になりました。とても元気で誰も未熟児とは思わないくらいです。

NICUでの7週間は本当に本当に大変でした。私の人生で涙を一番たくさん流した2か月です。小さなわが子を抱えて家のベッドで初めて寝かせた時の感動は今でも言葉にできません。

うおこさんご家族がコジロウくんを無事にお家に迎えることができて本当に本当によかったです!これからは4人いつもいっしょですね!応援しています。

>Rieさん

はじめまして。コメントありがとうございます。
長々記した入院生活記、読んでくださってありがとうございました。
29週での早産ではいろいろと心労もおありでしたでしょうね。お察しいたします。
私もブログでは触れていない病気そのものの事など他にもありまして、本当に涙した7週間でした。
わが子との触れ合いがあまり持てずに7週も過ごしてしまったこと、これが切ないですよね。

Rieさんのお子さんはその後順調に成長されているようでなによりです。
家族皆がいつも一緒で健康であること、それが一番です。
これからも健やかに成長されますように!

もうここには来ないよ、さぁ家に行くよ

と最後は急くように病院を後にした記録から、
長くて待ち望んだ我家への気持ちを感じたよ。

家に居ても子育ても家事もエンドレスで大変なのだけど、
やはり我家が一番。
家族揃うのが一番。

苦しかった時を乗り越えたからこそ、
当たり前の事や些細な事がかけがえのないものになる。

今、そうして家族4人で過ごしているのだと思うと嬉しくなるよ。
私こそ、何も出来なくて歯痒かったよ・・( ´・ω・`)

>imaちゃん

うん、本当に待ち望んだ我が家だったね。
産まれてから一度も家に行くことなく、約2ヶ月を過ごしてしまったのだもの。
失われた7週間。それを取り戻すことは決してできないけれど、今はそれ以上の時間を家で過ごせているよ。

ご精読ありがとうね~。

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